助産師が出産してみて思ったこと。

「助産師だから、産むのも上手でしょ?」

これ、周囲のひとからちょくちょく言われます。

結論から言うと、
半分正解で、半分不正解だと、私は思います(笑)

例えば
「痛いけど、これくらいの痛みじゃまだ産まれないな~」とか。
「いきみたくなってきたけど、まだいきむには早いな。」とか。
知識があるから、半分は冷静でいられる部分はあると思います。

しかしですね。

とは言え、痛いもんは痛い!助産師だろうがなかろうが。
助産師も叫ぶことはあります。

初めての出産

一人目の出産は4年前でした。
夜間に破水して即入院、朝まで自然に経過をみるも陣痛は5分間隔で弱く、子宮口6センチ。微弱陣痛の診断で陣痛促進剤を点滴することになりました。

出産を前に私なりに目標がありました。
「叫ばずに産むぞ。」「フーフー呼吸で最後まで乗り越えるぞ」と。

ちなみに、出産は自分がかつて働いていた病院の産婦人科での出産でした。一緒に働いていた同僚・先輩・先生にお世話になったのです。

促進剤の点滴を徐々に増やしていくうちに見事に陣痛は強くなっていきました。私はおなかの痛みというよりは、肛門が痛くて痛くて。おしりを圧迫してもらわないと、もう、居たたまれなかったです。

子宮口8センチ。子宮口全開までもう少し。目標を胸にフーフー呼吸に専念します。

陣痛が1分~2分の間隔で訪れ、徐々に余裕がなくなる中、「とにかくゆっくり息を吐くんだ。今集中することは、それだけだ」と思い、ギリギリの精神状態を保ちました。

しかし、初めての出産、そこからは、想像の先をいく世界。

出産で何が一番辛かったって、陣痛中の内診ですね。
おしりが痛くて押さえてほしいのに、内診の時は上を向いてて押さえてもらえないし、内診で子宮口をぐりぐり触られると強烈な陣痛が来て、痛いのなんのって。もう痛みにびっくりして、パニックになって、叫びました。そして内診終わってから大泣き。
自分もかつてはお産介助やってた側なんで、お産の時の内診ってこんなに痛かったのかって身をもって知りました。

その強烈な内診をきっかけに、陣痛はさらに強くなり、さっきまで落ち着いて陣痛の波を乗り越えれていたのに、自分の中でペースが崩れました。
呼吸が乱れて、「ひぃ~!!」とか「う゛ぅ~!!」とか声が我慢できません。

当初は、叫ばず静かに産むんだと思っていたのに、
「こんなに痛いんだから叫んでもいいよな。」と一気に開き直りました。

しかしそんな私に先輩助産師は、
「落ち着いて、大丈夫フーっと吐くよ、フーだよフーだよ」
と声をかけて落ち着かせてくれて、結局、私は叫びたい気持ちをぎりぎりで我慢することができました。

そして、子宮口全開からもわりと長期戦で、2時間くらい、力の限りいきんで出産したのでした。

お産を振り返って思うこと

初めての出産はとてもいい思い出です。頑張って産むことができたのは自信になりました。

出産のときに叫ぶとか叫ばないとか、当時は気にしていましたが、今は、大きな問題ではなかったと思う。

大きな声を出して落ち着く事ができる人ならそうすればいいし、大声出し過ぎて逆にパニックになるなら少し我慢すれば良いだけなのです。

分娩介助の助産師目線で言えば、
まだ陣痛が本格的になっていないような時から大声出し過ぎてパニックになって、体力使い果たしてヘトヘトになると、陣痛まで弱くなってしまうことがあるから、そうゆうときは「落ち着いて呼吸に集中しようねっ」て誘導するけど、

分娩も後半で、抑えきれない声が腹の底から出てくる段階になったら、もう声出す云々にこだわらなくてもいいと思います。

本能のままで(笑)。


そして、助産師ってすごくいい仕事だと、心底思いました。一人では絶対産めなかった。
出産時の極限状態の中、前向きな声をかけてくれたり、手をつないでくれたり、寄り添い受け止めてくれたから頑張れた。

お産の時に、安心できて、甘えられて、大事にしてもらえた感覚。これってすごく大事なんですよね。
叫んでも、弱音を吐いても、汗臭くても、帝王切開だったとしても。

出産は育児のスタート。あったかい雰囲気の中で受け止められながら産み、肯定的な出産体験をしたお母さんは育児のスタートがスムーズにいきやすい。
そのために、助産師の存在や関わりってとても大事。

あれから4年、さらに2回の出産を重ねました。出産するたびに、助産師ってかけがえのない仕事だなぁ~って思います。

チャンスがあれば、また私も助産師として、女性のお役に立てたらな~と思う今日この頃です。

では、また~。

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